今回のクロワッサンプロジェクトは、「日本産」にこだわっています。
日本人のものづくりに対する繊細な技術と作り手の想いは、間違いなく美味しいクロワッサンを生み出してくれるはず─。という想いから、このプロジェクトはスタートしました。
第一回目のテーマは、
クロワッサンの味の決め手となる、バターについてのお話です。
ある日のミーティングにて、大島出身のスタッフが「私の地元に人気のバターがあります」と話し始めました。この一言が、パン職人青木と、大島でも有名なバターや牛乳との出会いのきっかけとなりました。
大地の恵みをたっぷりとうけて育ったホルスタイン牛からとれた牛乳やバターを使用して試作してみると…、深い味わいのクロワッサンが出来上がりました!
クセのない牛乳と、海外産にはない独特の味のバター。これは美味しいクロワッサンが完成しそうです…。
伊豆大島は明治の頃からホルスタイン種の乳牛をイギリスより導入し、昭和初期には全島で1,200頭が各家庭で飼育されていました。
「大島バター」は、三原山を背景に広がる牧場で飼育された乳牛の乳と、ミネラル豊富な伊豆大島の塩だけを使用して作っています。自然なイメージを重視し、さらっとした無塩に近い素朴な味わいです。
ひとつひとつ職人が丹精込めて手作りしている大島バターは、個性を主張するのではなく、他の食材を生かすことのできるバターであると信じています。
素敵な牛乳・バターとの出会いに続きまして、今回はパンを発酵させるために大切な酵母の話をしたいと思います。
大地の恵と愛情たっぷりの原料を発酵させる酵母も天然にこだわりたい、と考えていました。綺麗な水のそばで大自然に育まれた酵母はないのか…。そして探し当てたのが、白神山地で発見された「白神こだま酵母」でした。
この酵母は、世界自然遺産指定地域内で監督官庁の許可を得て採取した腐葉土の中から発見されました。発酵力が強く、トレハロースが他の酵母より多いため、パンがほんのりと甘くなり、芳醇な香りとともにしっとりと焼きあがる特長を持っています。
白神山地の過酷な自然環境の中で育った酵母のまさに「母」のような強さと優しさ、甘さが青木の作るクロワッサンに更なる深みと、ホッとするような温かさを加えてくれました。
白神山地は、秋田県北西部と青森県南西部にまたがる約13万haに及ぶ広大な山岳地帯の総称です。今からおよそ200万年前、日本海が隆起してできたといわれています。 1993年12月、屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産に登録されました。
北緯およそ40度に位置し世界的にも稀な豪雪地帯であるが故に人の侵入を許さず、約1万年もの間自然のままの生態系を守りつづけてきました。世界最大級のブナ原生林を中心に、その奥深い神秘さのまま清らかな水をたたえ、動植物や何兆種類ともいわれる微生物が生き続けてきた世界の貴重な財産です。
クロワッサンの原料の中でもメインとなる、小麦粉について今日はお話します。
今回のクロワッサンの小麦粉は北海道江別市で作られています。この小麦粉には、北海道の大地と空と水の恵みと、生産する人たちの小麦に対する「想い」が込められていて、日本人の優しさに溢れた味がします。
更に、パン職人青木の想いを聞いた江別製粉の方のご協力で、今回のクロワッサンのためだけに色々な種類の北海道産の小麦を使用した、オリジナルブレンドを実現していただきました。他にはないオリジナルブレンドの小麦粉を使ったクロワッサン。日本人の物づくりへの愛情がたっぷりと詰まっています。
人々にとって大切な「食べ物」に関わる仕事に従事できることに誇りを持っています。「良質で、安全、そして廉価な」商品を作ることに日々努力し、「北海道の豊かな自然」をそえて、皆様にお届けいたします。
「皆さまの健康や、未来を担う子ども達の健やかな成長に貢献できる製品」、 そして「食べ物として安全であり、いつまでも安心して『いただきます』と言っていただける製品」をお送りすることに努力してまいります。
以上 生産者HPより引用
バター・牛乳・小麦粉・酵母と続けてきました、日本の大地で生産されている原料との出会いを綴った物語の最後は、味の決め手となる塩と砂糖のお話です。
バターや牛乳、小麦が持つ自然の甘味を引き出し、そこに適度な塩気を持たせたい、そう考えた私たちがたどりついた場所は、「沖縄」でした。沖縄の青く澄んだ綺麗な海と空、太陽と大地、そして何より温かな人々がゆったりとした時間の中で、大切に育んできた「塩」と「砂糖」。中でも今回のクロワッサンに適していたのが、「命の塩ぬちまーす」と「本和香糖」でした。
「命の塩ぬちまーす」は21種類ものミネラルを含むことでギネスにも認定されています。海水を微細な霧状にして吹き上げ水分を気化させて作られているので、粉雪のようにサラサラとしたパウダー状の美しい塩です。この塩は10歳のときから発明家になりたくて物理学者になり、「生命はどうやって生まれたのか?」という生命物理を勉強し続けてきた、高安さんが大切に時間をかけて開発した正に「命の塩」です。
また「本和香糖」は海と珊瑚礁、太陽の恵みを受けて栽培されたさとうきび、その原料糖のみを使用して作られています。乳白色の美しい色、さらさらと細かい粒子、そしてミネラル分によって上品で柔らかな風味があるお砂糖です。
「命の塩うちまーす」と「本和香糖」によってニッポンのクロワッサンの「味」が決まりました。
最終回は、ニッポンのクロワッサンプロジェクトをきっかけに実現した、パン職人の青木と、「パンラボ」のライター・池田浩明氏との対談をご紹介します。
「パンというありふれた奇跡」について素敵なエピソードを語ってくださる池田氏は、常日頃から美味しいパンを求めて全国を食べ歩いています。そのときの記録をパンラボのHPや本でご紹介されていたり、ときには世界中のパンを集めたイベントなども企画されている、パン好きの方なら知る人ぞ知る有名な方です。現在は「東京のパン屋200軒を巡る冒険」に出ているそうです。
8月某日、完成したばかりの「ニッポンのクロワッサン」を池田氏に是非食べていただきたい!そう考えた私たちは、スラッシュカフェへ池田氏をお招きいたしました。
「本日はよろしくお願いします。」自己紹介を交えた挨拶を済ませ、完成したばかりのクロワッサンについて青木が説明したあと、いよいよ池田氏に実食していただく時間がやってまいりました。出来たての香りや、パンの感触などを楽しみながら、クロワッサンを丁寧に口に運んでいく池田氏。青木は固唾を飲んで池田氏の反応を見守っています。
「表面が細かく割れて、パリパリしていて美味しい。」「バターの香りや味が強いのに、後味がさっぱりとしている。」「内麦を使用しているからでしょうか、結構もっちりとしていますね。」「大島バターを使用したパンを食べるのは初めてですね。」
そして、「これは、美味しいと言えるレベルのクロワッサンですね!」と嬉しいコメントをいただきました。それまでずっと緊張していた青木の表情から、自然と笑みがこぼれました。
対談の後半は、逆に池田氏から取材を受ける形になるなど、終始和やかな雰囲気に包まれた対談となりました。詳しくはパンラボのHPをご覧ください。
忙しい合間を縫って、取材にご協力いただきました池田氏には、貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございました。
これまで幾度も悩みながら、究極の食材や味にこだわって創り出した「クロワッサン」を、ようやく皆様にも召し上がっていただける日がきました。
9月6日10時より、店内で朝食として「森のコーヒー」とご一緒にお召し上がりくださいませ。また、ご家庭や職場へお持ち帰りいただけるように、テイクアウトもございます。是非、ご来店くださいませ。